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デザイン思考とは? 5分でつかむデザイン思考の基本

2019年12月10日

昨今ビジネスで注目を集めている、「デザイン思考」、「デザインシンキング」というキーワードがあります。
デザインという言葉を聞いてイメージするのは、商品の形をつくったり、パッケージのイラストを描いたりというようなことではないでしょうか?
デザインというものは芸術的なセンスが求められるものであり、感覚的なものだと思っている方も多いと思います。

本記事では、そもそもデザイン思考とは何か?なぜ論理が重要視されるビジネスで注目を集めるようになったのか?など、
デザイン思考をこれから学んでいく方向けに概要をご紹介します。

デザイン思考とは?

デザイン思考とは、シリコンバレーで誕生したデザインファーム「IDEO」が提唱した考え方で、IDEOはデザイン思考を次のように定義しています。

「デザイン思考とは創造的な問題解決のためのプロセスである。」

デザイン思考は問題解決のための思考法だということです。
ビジネス領域では常に問題解決・課題解決が求められています。

これが近年ビジネス領域で注目されるようになった理由でもあります。


■デザイナーのように考える思考法■
デザイン思考は具体的なソリューションを指す言葉ではありません。
デザイン思考はデザイナーの思考方法そのものだと言われています。

ここでのデザイナーとは、パッケージデザインやイラストを描くような職種の人にとどまらず、顧客の体験をデザインする人のことを幅広く指します。
顧客がどのような体験を求めているのか。顧客にとってどのような価値を提供すればよいのか。そしてその価値をどのように商品やサービスに落とし込むか。
デザイン思考とは、それら顧客の体験を最適化しようとするマインドのことです。

■右脳と左脳の両方を使う■
デザイン思考はイメージや感覚的な右脳的思考と、ロジカルに考える左脳的思考の両方を組み合わせるハイブリットな思考法です。
例えばデザイン思考では、とにかくたくさんのアイデアを出すフェーズ(発散)と、出されたアイデアを評価するフェーズ(収束)とを分けて考えます。

前者で必要なのが、文字だけではなく5感や事象・感情などあらゆる情報をインプットし、あらゆる形でアウトプットする右脳的思考です。
そして後者で必要なのが、実現可能性などを加味したうえでアイデアを論理的に評価し選ぶ左脳的思考です。
この両極の思考を自在に行き来する必要があるため、ロジカルな左脳的な考え方のままデザイン思考の形だけをなぞるだけではうまくいかない例が多いのです。

なぜ今デザイン思考なのか?

なぜ今になってデザイン思考が日本でも注目されるようになったのでしょうか。

■日本企業にも求められるイノベーション■
日本をはじめとした先進国は成熟社会を迎えています。
人々の基本的なニーズは満たされ、モノやサービスがあふれています。ただ奇抜な商品やサービスを作るだけでは、顧客も受け入れてくれません。
今求められているのは、「未充足のニーズ」に対する商品やサービスとも言われています。




そのような環境の中、新しい商品やサービスを開発することは容易ではないでしょう。
そしてグローバルな世の中であることも忘れてはいけません。より安い商品やサービスが新興国から参入してくる可能性もあります。
日本企業にも今ある技術とブランド力を駆使して、イノベーションを起こすことが求められています。

■コラボレーション、共創の時代■
情報技術やプラットフォームの進化により、もはや企業から消費者という一方通行が価値ではない流れになりました。
今はイチ消費者がクリエイティブな力を発揮し、世界中にコンテンツを発信している時代です。

そして今後は3Dプリンタなどの普及により、デジタルコンテンツに限らず、個人がモノづくりすら担うことになるかもしれません。
企業内に留まるのではなく、個人も含めた外部の事業者との共創に乗り出す企業も増えています。
自社内だけにとどまらず、ユーザーも含めた外部とのコラボレーションが求められる時代背景もあります。

■主となるクリエイティブな仕事■
デザイン思考が注目される一方で、ロジックを突き詰めた人工知能や機械学習の発展も注目されています。
海外の著名な大学をはじめ、日本の研究機関でも、今ある仕事の大部分が人口知能や機械学習によって置き換えられるようになると予測しています。

そのような潮流の中、これからの私たちに求められるのは顧客のインサイトを理解し、価値を提供すること。そのためのアプローチの一つがデザイン思考なのです。

デザイン思考によって期待できること

デザイン思考を取り入れる取り組みによって、以下のようなことが期待できます。

■既存ビジネスを超えた商品やサービスの開発■
ビジネス領域でのデザイン思考の活用はまだまだ始まったばかりです。

ビジネスではロジカルにモノを考えることが求められます。
突拍子もないアイデアを出すと怒られるのではないか。根拠がないアイデアは悪なのではないか。
だれもが自分のアイデアの確からしさを、ロジカルに判断しています。



デザイン思考では、とにかくアイデアを数多く出すことを推奨します。
そしてアイデアを出す場面において否定はNGです。
そういう既存の枠にとらわれない自由な発想の中から、新商品やサービスの種を探していきます。

■新規事業創造やブランドの立てなおし■
デザイン思考は、顧客起点で新しいアイデアを生み出すことにとても向いています。
そのためにまったく新しい事業に挑戦する際の方向性であったり、既存ブランドの価値を再定義したりするときに多いに活用できます。
どのような方向性が良いのか、どのようなブランド価値を提供する存在であればよいのか、顧客を常に想定したワークを行います。

■ゼロイチの発想■
ゼロの状態から何かを始めるとき、だれにも成功への確かな道筋が見えていないこともあります。どこに向かうか明確でないときに課題を設定し、そこへの道筋を立てるときのアプローチとしてデザイン思考が活用できます。
絵やモノを使った説明でコミュニケーションを加速させます。
左脳的な思考と右脳的な思考を組み合わせることによって、人とは違う切り口を出すことができる武器となるでしょう。

デザイン思考のプロセス

デザイン思考のプロセスとしては、スタンフォード大学のd.scholが提唱している「5ステップ」モデルが有名です。
①共感 → ②問題定義 → ③創造 → ④プロトタイプ → ⑤テストという5つで構成されています。


①共感
デザイン思考は、顧客への共感から始まります。
ここでの共感とは、その人のことを注意深く観察し、その人自身を理解しようとすることです。
その人の生活環境の観察、インタビューなどを通してその人を理解していきます。



②問題定義
顧客を観察して得られた情報をまとめます。
そしてその後、その人が抱えている問題・インサイトを考えます。
問題は直接その人の口から発せられるとは限りません。その人への共感、観察、理解を通して、仮説立てて示すことが求められます。
その人が意識していないところに本当の問題は潜んでいます。

③創造
問題を解決するためのアイデアを生み出します。
ここではロジカルに考えるのではなく、できるだけ多くのアイデアを出す、アウトプットするということを心がけます。
実現可能性などは、この時点では加味する必要はありません。
そしてアイデアを出し尽くした後、問題解決につながりそうなアイデアにそれらを収束させていきます。

④プロトタイピング
アイデアを出した後、イメージをできるだけ具体的に持つために形にしていきます。
そうすることで、チームでアウトプットイメージの共有を行うことができ、さらなるアイデアの修正も行うことができます。
イラストで描く、あり合わせのもので形を作ってみる等、とにかく素早く形にします。

⑤検証
プロトタイプを、共感対象となっていた顧客にぶつけることで、本当にその人の目線からみて価値のあるものになっているかどうか、検証します。
フィードバックを基にアイデアをブラッシュアップし、それをアウトプットする、という流れを繰り返します。
一度作ったから終わりというわけではなく、何度もこのサイクルを繰り返すことによって、クオリティを上げていきます。

デザイン思考のマインドセット

■顧客を中心に考える■
デザイン思考は一人の顧客への共感から始まること、そしてその人の問題を解決するためのアイデアを生み出そうとしていることを忘れてはいけません。
「その人はどのような人で、どのような問題を抱えているのか」「その問題を解決することで、その人にどのような価値を与えることができるだろうか」「考えたアイデアはその人の問題を解決するものだろうか」「考えたアイデアに対して、どのように思うのだろうか」など、主語を自身や企業ではなく顧客としてアイデアや商品・サービスについて語るようにしましょう。




■ビジュアルで考える■
顧客に共感したり、アイデアを出すための情報を集める際、実際に顧客の生活環境を見に行ったり、画像や動画を集めたりと、右脳的な思考を刺激するようなインプットを重視します。
ビジュアル的な情報は、言語的な情報に比べて圧倒的な情報量があります。
実際に顧客の行動や生活環境を見て感じるからこそ、その対象者のことをより具体的に想像することができ、隠れた問題まで推し量ることができるのです。

■手を動かして考える■
特にアイデアを出す場面やプロトタイプを作成する場面において、とにかく手を動かして進めるということが重要です。
正確でなくても、できるだけ早くアウトプットをビジュアル化し、顧客からのフェードバックを得ることを優先します。
そのサイクルを早くこまめに回すことで、アイデアの質はますます高まっていきます。

デザイン思考を活用した実践フロー

それでは、実際にプロジェクトを進める際には、どのように進めればよいのでしょうか。
一通りの流れを具体的に施策に落とし込んだときの一例をご紹介します。

①市場理解・テーマ選定
テーマに関して幅広く情報を収集・整理します。
マクロ環境及び、業界環境の分析を行います。市場動向について3C分析を使ったり、デスクリサーチを行ったりと、様々な情報収集、分析を行い市場を理解し、テーマ選定を行います。
また、関係者を一堂に会して共通認識を持つためにワークショップを行うこともお勧めします。

②気づき・共感
テーマに合った人へ訪問し、その対象者の生活環境や行動を観察することで、多くの気づきをインプットします。
通常のマーケティングリサーチでは、ターゲット顧客を代表する人を調査対象とします。
しかし、デザイン思考では特異な人を調査対象とします。普通とは異なるサービスの利用方法をしている人であったり、極端な嗜好がある人であったり、市場において少数の人を観察対象とすることで、思いもよらなかった気づきを得ることができます。

③インサイト発見・アイデア出し
得られた情報を基に、問題定義を行います。
対象者が抱えている本当の問題、インサイトは何か。潜在的なニーズとアイデアをワークショップで考えていきます。

④アイデアブラッシュアップ
収束させたアイデアを、対象者に確認し、フィードバックをもらいます。
一対一のインタビュー形式でじっくりとヒアリングします。

⑤コンセプト創造
得られたフィードバックを基に、ビジュアルまで含めて具体的にコンセプトを作り上げ可視化します。
そうすることで、共通認識を関係者間で持つことができます。

⑥プロトタイプ作成
評価できるレベルまでプロトタイプを作成します。
ここではコンセプトの評価を出来るレベルでいいので、完成度よりも早さを優先します。

➆検証
プロトタイプを評価してもらいます。
ブラッシュアップのためであれば観察対象者に、市場の受容性を把握するためであれば定量調査を行う方法があります。

対象によるフィードバックと、アイデアブラッシュアップとコンセプトのブラッシュアップのサイクルは、それぞれのケースによって異なります。
デザイン思考のステップに絶対的な正解ありません。


■実施段階についての詳細はこちら■
新商品・新サービス開発リサーチ「Insight Driven」

まとめ

ここまでご紹介してきたデザイン思考についてまとめます。

デザイン思考は、「顧客を起点とした問題解決のプロセス」です。
変化が多く、スピードを求められる社会のビジネス領域にこそ求められる、すべてのビジネスパーソンにとって意味のある考え方だと言えます。

しかし、実際にデザイン思考型のワークショップなどを体験すると、右脳的な思考と左脳的な思考の両方を行き来するような感覚に、最初戸惑うかもしれません。
まずはいつものミーティングから、自由に発想してみること、そして少しずつその輪を広げていくことを意識してみてはいかがでしょうか。

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