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調査票設計のノウハウ バイアスを考慮した調査票とは?

ライター:株式会社ネオマーケティング

公開日:2021年05月31日 | 更新日:2023年11月08日

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アンケートで聴取したい内容が決まったら、次に設問の具体的な設計を行います。設問は「設問文」「選択肢」のシンプルな2つで構成されることもあり、一見して簡単だと思うような工程ですが、思わぬ落とし穴があることをご存知でしょうか。そこで今回は、つい陥りがちな「バイアス」という観点について詳しくご紹介していきます。

そもそもバイアスとは何か

そもそも、バイアスとは何でしょうか。バイアスとは、日本語では傾向・偏向・先入観といった意味があり、マーケティング・リサーチにおいては「回答者から得られる情報に偏り(かたより)が生じる」という意味を持っています。当然ですが調査を実施する上で、公平な立場からの回答ではなく、偏った立場からの結果を取得することは、調査そのものの有意性が疑われるものとなるでしょう。また、当初の調査目的の達成も難しくするのではないでしょうか。

バイアスについては設計者自身にそのような意図がない場合でも、知らずしらずのうちに生まれてしまうものとなりますので、バイアスを理解し上手く付き合うことがとても重要です。それでは、実際に具体的なバイアスの例をご紹介しながら、バイアスへの理解を向上させていきましょう。

設問文によるバイアス

設問文は、文章表現の違いで最もバイアスが生まれてしまう箇所となります。

設問文例:その1
これからのグローバル社会では日本語以外の言語を覚えることが重要とされています。
あなたは日本語以外の言語についてどの程度関心がありますか。


上記の例文では他言語への関心を確認する設問ですが、このままの設問文で調査を実施した場合、回答結果として「関心がある」と回答する割合が多くなってしまうことが考えられます。原因は1行目に記載のある「これからのグローバル社会では日本語以外の言語を覚えることが重要とされています。」という文章で、一般的には関心を持つことが重要であることを「誘導」していることにお気づきでしょうか。
こうした一般論・補足的な情報を提示し回答を誘導することを「意向暗示効果」や「社会的望ましさ」と呼ばれ、回答結果に大きくバイアスが生まれるため注意が必要です。


設問文例:その2
現在は3,000円(税込)で販売されていますが、今後5,000円(税込)で販売される場合、
あなたはどの程度購入したいと思いますか。


上記の例文では、サービスの値上げに対しての購入意向を聴取したい意図を感じさせる設問です。今後の購入意向を聴取するのにおかしな点はなさそうな設問文ですが、このままの設問文で調査を実施した場合、回答結果として「購入したいと思わない」と回答する割合が多くなってしまうことが考えられます。

原因は「現在は3,000円(税込)で販売されていますが」という文章で、3,000円という以前の値段を提示することで回答者は3,000円を基準に設問を答えることとなります。こうした比較対象となる情報が固定されることを「アンカリング」と呼び、今回の場合では3,000円にアンカリングされているため、より金額の大きい5,000円に対してはマイナスの結果を導くでしょう。


設問文例:その3
あなたはこのカレーライスを食べたいと思いますか。

上記の例文は何気ない設問で、バイアスとは一見無縁です。ここにも思わぬ落とし穴があると聞いて驚くのではないでしょうか。それぐらい頻繁に見られる事象となります。この設問文でバイアスがかかってしまうのは「食べたいと思いますか」という文章で、人は「○○ですか」と尋ねられるとつい肯定的な回答になりやすい傾向があるとされています。これらの傾向を「黙従効果(イエス・テンダンシー)」と呼びます。

そのため「食べたいと思いますか」「買いたいと思いますか」「嫌いですか」といった文章ではなく、「お気持ちをお知らせください」「あてはまるものをお選びください」のような公平な文章が望ましいでしょう。

選択肢によるバイアス

選択肢は数や配置、抜け漏れによってバイアスが生まれてしまう箇所となります。

選択肢例:その1
「興味がある」「興味はない」(2択)

興味についての選択肢例です。一般的に、興味の段階は2択で分類できるような極端なものではないため「どちらかといえば興味がある」「どちらかといえば興味がない」といった段階的なお気持ちを考慮する必要があります。仮に2択で聴取したものを、次の調査で4択・5択での聴取とした結果では「興味がある」という割合に大きな変化が生じることも考えられるでしょう。


選択肢例:その2
「セブンイレブン」「ファミリーマート」「ミニストップ」「ポプラ」「その他」

上記では利用しているコンビニチェーンをお選びいただく選択肢として作成いたしました。ここで重要となるのは、こうしたメーカー・ブランドを選択肢化する際に「主要なもの」が抜けていないことです。上記の選択肢例では大手コンビニチェーンの「ローソン」が抜けてしまっているため、ローソンと答えたい方はすべて「その他」の選択肢が必要となります。この場合、ローソンを選択肢に設けた際と比べ、その他の割合がとても多くなることが考えられます。


選択肢例:その3
「ブランドA」~「ブランドZ」(26択)

上記の例では、ブランド名が26個の選択肢として並んでいるところをご想像ください。選択肢の数は多ければ多いほど、選択肢の表示順序によって「上段」または「下段」に表示されている選択肢に偏りやすい傾向があります。これを「順序バイアス」と呼び、ある方向への回答集中を避けるために「ランダマイズ(回答者によって表示する順序をランダムに変えること)」の設定が必要となる場合もあります。

その他のバイアス

タイトルによるバイアス
アンケートのタイトルを表示する場合、このタイトルの付け方も重要なものとなります。例えば、「スポーツ観戦に関する調査」というタイトルでは、アンケートに答えたい人がスポーツ観戦をすることを偽った回答や、逆にスポーツ観戦を積極的に実施している方の回答が集中する可能性があります。そのため、アンケートタイトルでは、その調査の内容が予測できないようなものとすることが必要でしょう。特定の物事をタイトルにするのではなく、「趣味に関するアンケート」「食べ物に関するアンケート」といったタイトルにするとよいです。

調査主体によるバイアス
アンケートを実施する際には、より透明性を主張するために調査主体を提示することがあります。この調査主体の提示についてもバイアスが生まれることへの理解が必要です。例えば、「調査主体:○○(メーカー名)」とした場合、その企業に対しての本音の意見が言いづらくなることが考えられます。そのため、調査主体を明らかにすることについては、調査内容と照らし合わせながら検討するのがよいでしょう。同じような視点で、「個人情報の記入」が必要となる調査でも、本音が言いづらくなる傾向があります。

キャリーオーバー効果(順序効果)
設問の順序によって、前にある設問の内容が、後の設問の回答に影響することがあり、こうした影響は「キャリーオーバー効果(順序効果)」と呼ばれています。例えば満足度を聴取する調査において、「総合満足度」と「項目満足度」のどちらを先に質問するのかでも回答傾向に違いが生まれます。「総合満足度」→「項目満足度」とした場合、総合満足度が項目によって左右されない傾向となりますが、「項目満足度」→「総合満足度」の場合は項目ごとの満足度を踏まえた上での総合満足度となりますので、当初の総合満足度とは違った結果になることも考えられるでしょう。こうした設問の順序で回答傾向が異なってくることも考えられますので、生まれるバイアスを理解しながら順序を検討することが望まれます。

終わりに

より実態に近い情報を得るには、バイアスを考慮し取り除いていく必要があります。ただ、バイアスには様々な要素があり、自分では問題ないと思ったものでも知らずしらずのうちにバイアスが残っている可能性もあるかと思います。

リサーチのプロである「ネオマーケティング」では、専門の知識を有したスタッフが調査票の設計・監修を行い、こうした調査票の悩みをサポートすることができます。調査票にお悩みの方は、まずご相談ください。

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