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ブランドイメージ調査とカテゴリーエントリーポイント調査の比較

ライター:加藤 賢大

公開日:2021年06月28日 | 更新日:2024年02月27日

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目次

ブランド調査のなかで、よく活用される「ブランドイメージ調査」。「高級感がある」「信頼できる」「安心感がある」といった選択肢から選ぶもので、簡易的にデータがとれるというメリットがあります。が、一方で課題もあります。
今回は、ブランドイメージ調査の落とし穴と、それを補完することができるカテゴリーエントリーポイント(CEP)調査について解説していきます。

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解釈が難しいブランドイメージ調査

ブランドイメージ調査は簡易的にブランドイメージを取得できるメリットがある一方、以下のような課題があります。

・イメージのスコアの高さはどの程度信じて良いか
・ブランドとイメージをマッピングした知覚マップの解釈が難しい
・知覚マップの配置が何となくしっくりこないことがある

たとえば、あるブランドに対して、「ワクワクする」というイメージを抱いた人が80%いたとします。同時に「安心できる」という回答も60%あったとします。一見、よい結果にも見えますが、そのスコアが高いのか低いのか、他と比べてどうなのか、この数字だけではよくわかりません。

また、調査結果を受けてブランドとイメージをマッピングする「知覚アップ」を作成しますが、その解釈も難しいところがあります。そのブランドとイメージのポジショニングが示されても、わかったようなわからないような、しっくりこないということがあるのです。

こうした課題を解決し、より具体的なブランド戦略の施策へのヒントを与えてくれるのが「カテゴリーエントリーポイント(CEP)調査」です。
ブランドイメージ調査は、ブランドから想起されるイメージを聞いていきますが、CEP調査は流れが逆で、あるイメージや特徴(カテゴリーエントリーポイント)からどのブランドを想起するかを聞いていきます。

ブランドイメージ調査とCEP調査の違いについて、歯みがき粉ブランドについて行った調査結果を例に見ていきましょう。

※ブランド調査については、以下のコラムもご覧ください。
ブランド調査とは?方法と設計ノウハウ、結果の活用について

「視覚マップ」の落とし穴

下に掲げたのは、各社の歯みがき粉のブランドイメージ調査の結果です。1000名を対象に、各ブランド認知者に対して、それぞれに抱く使用効果のイメージを選んでもらいました。

画像①

たとえば、クリニカに対しては、「虫歯予防」のイメージをもっている人が46.7%といちばん多く、「歯・歯茎の健康に良い」というイメージをもつ人が23.6%でした。
シュミテクトについては、49.3%の人が「知覚過敏対策」をあげていて、「虫歯予防」25.9%、「歯・歯茎の健康に良い」23.3%という結果になっています。

この結果を知覚マップに落とし込むと、次のようになります。

画像②

グラフ内のポイントは、みどりの四角がブランド名で、赤のダイヤがイメージです。
グラフ右上、知覚過敏対策というイメージに寄っているのがシュミテクトで、グラフ左上には、ホワイトニングのイメージにアパガードが近接していて、オーラツーも近くにあります。
グラフ右下には、生葉と歯槽膿漏対策が一つのまとまりをつくっています。

なんとなく納得はできるのですが、シュミテクトは知覚過敏というイメージが強いということはわかっても、ほかにどんなイメージがあるのかはこのグラフからはわかりません。
また、グラフ中央にはさまざまなブランドとイメージが混在していて、ここに分布したブランドは特徴的なイメージがないと判断していいのか、迷ってしまいます。

ネオマーケティングでは、ブランドイメージ調査を行ってスコアを出したあと、こうした知覚マップを作成し分析をしていきますが、どうしても分析者の感覚的な評価になってしまうことは否めません。ブランドイメージ調査にはこうした課題があるのです。

ブランドイメージ調査とCEP調査を比較

次に、各社歯みがき粉ブランドについてのCEP調査の結果と併せて見てきましょう。歯みがき粉に期待する効果に対し、どのブランドを想起するか調べたものです。サンプルサイズは1200名で、一人最大3つの効果とそれに対応するブランドを回答してもらいました。
その結果を、前述のブランドイメージ調査の結果と比較してみましょう。


画像③

下の表、CEP調査は、各イメージ(効果)に対して思い起こされたブランド1位をみどり、1位と10ポイントの差以内だったブランドをきいろでマークしています。
たとえば、虫歯予防という効果に対し、生活者はどのブランドを想起するのかというと、クリニカがいちばん多くて23.9%、GUMが23.5%、クリアクリーンは14.3%の人に想起されている…というように見ます。

さらに、ブランドイメージ調査とCEP調査を比較していくと、次のようなことがわかってきます。

・虫歯予防のイメージはTOP3ブランドで近いスコアだが、想起ではクリアクリーンがやや劣る
・ホワイトニングというCEPで単独で想起されるブランドは少ない
 ※知覚マップほどはっきりとしたポジショニングにあるブランドは多くない可能性がある
・口臭予防というCEPではノニオはブランドイメージ調査ほどの強さはない

それぞれ、解説していきます。

●クリアクリーンの「虫歯予防」効果のイメージ
ブランドイメージ調査を見ると、「虫歯予防」というイメージに対し、クリアクリーンはGUMとほぼ同程度のスコアを獲得しています(クリアクリーン40.9%、GUM41.0%)。
しかし、CEP調査で虫歯予防のイメージからクリアクリーンが想起されているかというと、クリニカやGUMとは10ポイント程度の差が開いています(クリニカ23.9%、GUM23.5%、クリアクリーン14.3%)。
つまり、「クリアクリーンといえば虫歯予防」というイメージは強く印象づけられてはいるけれど、「虫歯予防といえばクリアクリーン」と思われているかといえば、それほどでもないということです。
このように、ブランドからイメージを聞いた結果と、イメージからブランドを聞いた結果が、異なるケースは少なくありません。

●ホワイトニングから想起される強いブランドはない
CEP調査の縦軸、「ホワイトニング」のところを見てください。一番がアパガードの12.5%。続くオーラツーは11.9%と、突出したブランドがありません。CEP調査では、このカテゴリーでブランド間にあまり差がないということがわかります。

しかし、先ほどの知覚マップでは、ホワイトニングはアパガードと強い関係性があり、他のブランドと明らかな差がありました。知覚マップにおいては、アパガードはホワイトニングというイメージが強いブランドのように見えていましたが、CEP調査ではそこまでの強さは出ていません。
さらにCEP調査では、アパガードとクリニカ、オーラツーとの間に大きな差はなく、実際に店頭ではアパガードだけでなく、他のブランドも同じくらい想起されているわけです。知覚マップでは誇張されてしまっていて、解釈をミスリードしてしまう可能性があります。

●口臭予防でノニオはさほど強くない?
他のカテゴリーでも同様です。
「口臭予防」について、ノニオはブランドイメージ調査で53%を獲得し、口臭予防がイメージとして印象づけられているという結果でした。知覚マップを見ても、比較的近い関係性にあり、口臭予防というイメージからノニオが想起されるだろうと思いきや…CEP調査を行ってみると、口臭予防でいちばん想起されたのはGUM(17%)。ノニオも13.2%を獲得しているので大きな差ではありませんが、ブランドイメージ調査の53%ほどのインパクトはありません。

また、「歯槽膿漏対策」では、小林製薬の生葉がそのプロモーション効果もあってか、ブランドイメージ調査では42%を獲得しています。が、CEP調査で歯槽膿漏から生葉が想起されているのかというと、いちばん最初に想起されるのはGUMで27.5%。生葉は15.9%です。

知覚マップでも生葉と歯槽膿漏対策との距離が近く、生葉=歯槽膿漏対策というブランドイメージが浸透しているように見えます。しかし、歯槽膿漏から生葉が想起されるかというとそうでもなく、GUMに負けてしまい、クリニカやシュミテクトと競い合っているということがわかります。

大前提として、シェアの高いブランドほど多くのカテゴリーエントリーポイントをもち、多くのカテゴリーエントリーポイントを抑えるブランドと売上との相関はあります。GUMやクリニカ、アクアクリーンはそもそも、市場でよく売れているブランドです。その点を踏まえると、歯槽膿漏といえばGUMと答えた人が多いのも驚くことではありません。

ブランドイメージ調査とCEP調査を比較してみると、ブランドからどういうイメージを抱くかという話と、イメージからどのブランドを想起するのかというのは、別次元の話だということがわかります。ブランドイメージ調査とCEP調査、それぞれの良い点・悪い点あり、互いにカバーしきれない部分を補うことができます。

生活者がものやサービスを購入するとき、何かしらのイメージがあり、そこから具体的なブランドを想起します。購買現場により近いのがCEP調査です。

どういう印象をもたれているのか? 自社の打ち出したメッセージが正しく届いているのか? を把握することはとても重要です。まずは、ブランドイメージ調査を実施し、ブランドのイメージがある程度醸成されてきたら、次のステップとして、イメージからブランドが想起さているかCEP調査を実施する。この2段階でのブランド調査をネオマーケティング では大切にしています。

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おわりに

ブランドイメージは生活者に浸透しているのに、売り上げにあまり結びついていない…。そんな壁を感じたときは、イメージからブランドが想起されていないというのが根本理由だと考えられます。まずはCEP調査で解決への糸口を探ってみてはいかがでしょうか。
自社のCEPについて、どのようなモノがあるのかご興味ある方は、是非お気軽にお問合せください。

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加藤 賢大
WRITER
加藤 賢大
マーケティング業界歴10年超。2011年よりネオマーケティングに入社。リサーチのみならず、WebマーケティングやPR、ニューロ・IoTなど、各種ソリューションを駆使して顧客の課題解決に尽力。 武蔵野美術大学と共同で新サービス開発及び論文発表、日本マーケティング協会主催のマーケティングAI研究会に参加するなど研究活動にも従事し、幅広い業務に携わる。

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