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2020年07月29日

  • リリース

有効なインターネット調査のあり方を検討するプロジェクトを始動「回答デバイスの違いがアンケート調査の質に及ぼす影響について」

調査背景

近年のインターネット調査において、スマートフォン回答者の割合が増加しています。以前はPCでアンケート調査に回答することが主流でしたが、近年はスマートフォンが年代を問わず普及していることも相まって、調査業界としてもスマートフォン回答を前提とした調査設計が求められています。
そこで、PCとスマートフォンで回答したときの回答の差を明らかにし、よりこれからの時代における有効なインターネット調査のあり方を検討するための調査プロジェクトを始動しました。
第1回目となる本調査では、回答デバイスの違いが記述式質問の回答に与える影響を、回答所要時間、有効回答率などの観点から検証を行いました。2回目以降は、回答デバイスの違いがマトリックス設問の回答に与える影響を検証する予定です。

【調査内容】

ネットリサーチを行い、以下4点について回答したデバイスによる回答の違いを検証しました。
・一般的事象に対する「純粋想起」「イメージ想起」の想起数 
・回答者自身の事柄についての平均文字数 
・アンケートの回答時間
・アンケートの途中離脱率

設問一覧



調査概要

調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用したWEBアンケート方式で実施

調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の20~69歳の男女を対象に実施

調査対象の条件:本調査を回答したデバイスによって以下割付し、調査を実施
割り付け

有効回答数:2000名

調査実施日:2020年7月7日(火)~2020年7月9日(木)

【その他】
・nは回答者数を表している。
・回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示している。このため、合計数値は・必ずしも100%とはならない場合がある。
・設問の回答には、単一回答と複数回答がある。複数回答の設問は、回答率(%)の合計が100%を超える場合がある。
・nが30未満の数値は参考値とする。
・3%未満の数値ラベルは非表示とする。

調査結果概要

弊社調査の自由回答は、どの性年代もPCとスマートフォンで回答の質に違いはなかった。
特に年代の高いスマートフォン回答者は、入力の不慣れさから回答の質が落ちると想定されていたが、回答時間をかけて、若い世代以上の文字数を丁寧に入力していたことが読み取れた。
したがって、弊社調査の自由回答設問において、性年代による回答の差、デバイスの差を考慮する必要性は低いと言えるだろう。

  • 1.普段の回答デバイスについて
    アンケート回答におけるデバイス比率はやや「PC」が高く、年代による違いが顕著であった。

  • 1.普段の回答デバイスについて<br>アンケート回答におけるデバイス比率はやや「PC」が高く、年代による違いが顕著であった。
    はじめに、スクリーニング調査にて、PCとスマートフォンでの回答比率を確認した。
    左下のグラフは、普段アンケートを回答する際のデバイスで「PC」と回答した人の割合と、最もアンケートを回答することが多いデバイスで「PC」と回答した人の割合を並べたものである。
    右下のグラフは、普段アンケートを回答する際のデバイスで「スマートフォン」と回答した人の割合と、最もアンケートを回答することが多いデバイスで「スマートフォン」と回答した人の割合を並べたものである。
    普段、アンケートを回答する際のデバイスは、全体でPCが69.3%、スマホが60.5%でややPCで回答する人の割合が高い。男女ともに、PCで回答する人の割合は年代が高いほど、スマートフォンで回答する人の割合は年代が低いほど、高くなる結果となった。

  • 2.「純粋想起」について

  • 2.「純粋想起」について
    <検証方法>
    下記3つの指標について、Q1「純粋想起」のデバイスによる差を確認する目的で検証を行なった。
    ・各想起の回答率=想起ごとの回答が入力された割合
    ・平均回答想起数=回答想起数の平均
    ・非有効な回答率=「不明」「分からない」「特になし」等の回答割合
     ※第1想起は必須で、第2~第5想起は任意である。詳細は調査票の画像にて。

    <調査結果>
    回答デバイスによる平均回答想起数に大きな差は確認できなかった。年代が高い人の平均回答想起数が多かった。平均回答想起数は、PCとスマートフォンともに4以上となった。回答デバイスと性年代で結果を比べても大きな差は見られなかった。非有効な回答率は、PCとスマートフォンともに0%と非常に低い数値を記録し、モニターの質の高さを伺わせる結果となった。
    当初、年代が高い人がスマートフォンで回答することによって、想起数が少なくなる可能性を想定していた。しかし本調査では、回答デバイスの違いによらず、平均回答想起数は高い年代の回答者ほど多いという結果となった。

  • 3.「イメージ想起」について

  • 3.「イメージ想起」について<br><br>
    <検証方法>
    下記3つの指標について、Q2「イメージ想起」のデバイスによる差を確認する目的で検証を行なった。
    ・各想起の回答率=想起ごとの回答が入力された割合
    ・平均回答想起数=回答数の想起数の平均
    ・非有効な回答率=「不明」「分からない」「特になし」等の回答割合
      ※第1想起は必須で、第2~第5想起は任意である。詳細は調査票の画像にて。

    <調査結果>
    回答デバイスによる平均回答想起数に大きな差は確認できなかった。「純粋想起」と同様、年代が高い人の平均回答想起数が多かった。
    平均回答想起数は、PCとスマートフォンともに全体で2.6以上となり、回答デバイスと性年代で結果を比べても大きな差は見られなかった。
    「イメージ想起」でも、年代の高いスマートフォン回答者の平均回答想起数が多い結果となった。非有効な回答率は、PCとスマートフォンともに、全体で5%未満と非常に低い数値を記録している。

  • 4.「外出自粛要請による自宅での過ごし方の変化」について

  • 4.「外出自粛要請による自宅での過ごし方の変化」について
    <検証方法>
    平均文字数について、Q3「外出自粛要請による自宅での過ごし方の変化」のデバイスによる差を確認する目的で検証を行なった。
    平均文字数=なし系の回答を除いた平均文字数
     ※固定文字数である「なし系」の回答は、PCとスマートフォンも変化がないため除外

    <調査結果>
    回答デバイスによる平均文字数の差はほとんどない。男性よりも女性の方が平均文字数は多く、低い年代より高い年代の回答者の方が、平均文字数は多くなった。
    全体でみると、PC回答者の平均文字数は17.5、スマートフォン回答者の平均文字数は17.4と、回答デバイス間の差は小さい。男女別に平均文字数を比較すると、女性の文字入力数が男性よりも多いことがわかった。
    また、当初は年代が高い人がスマートフォンで回答することによって、自由記述の質問で記載する平均文字数が少なくなる可能性を想定していた。しかし、性年代別の結果は一部n数が少ないため参考値扱いではあるものの、高い年代の回答者の方が、低い年代の回答者よりも多く文字を入力している傾向があった。

  • 5.回答所要時間について

  • 5.回答所要時間について
    <検証方法>
    PC回答とスマートフォン回答を比較して、回答所要時間に差があるのか、質問ごとに検証を行なった。回答所要時間とは各質問の回答にかかった時間を指す。

    <調査結果>
    回答デバイスによる、回答所要時間に大きな差は確認できなかった。年代が高いほど、回答デバイスによらず、丁寧に回答していることが伺える。
    Q1の純粋想起の質問の回答所要時間が最も長く、PC全体で「40秒」、スマートフォン全体で「45秒」であった。回答所要時間が1分を超えるのは、Q1の「PC回答者 女性60代」、Q1の「スマートフォン回答者 男性60代」「スマートフォン回答者 女性50代」「スマートフォン回答者 女性60代」であり、年代が高いほど、回答所要時間が長い傾向にある。
    当初、自由記述の回答は年代が高いほど、入力の不慣れさから丁寧さに欠けるのではないかと仮説立てていた。しかしQ3の自由記述の質問の回答結果から、時間をかけて丁寧に回答している様子が伺えた。

  • 6.本調査における、回答の途中離脱率について

  • 6.本調査における、回答の途中離脱率について<br><br>
    <検証方法>
    インターネット調査において、回答途中の離脱は回答の回収数、回収期間に大きく影響する。一般的にはアンケートの質問数、質問内容による回答負荷などが影響を及ぼすとされているが、今回は回答デバイスの違いによって、途中離脱率に差が生じるかを検証した。
    ※途中離脱率=各質問において、回答を完了することなくアンケート調査を終了した回答者の割合

    <調査結果>
    途中離脱率は低く、回答デバイスによる差は確認できなかった。
    本調査に関していうと、途中離脱率は1%未満と低く、回答デバイス間の差は確認できなかった。ただ、今回の調査は設問数が自由記述3問と、かなり少なめであった。そのため、本調査の結果はあくまで参考値とし、次回以降の検証プロジェクトで設問数、選択肢数を増やしての検証を行う予定である。


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