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- 小林製薬株式会社 日用品事業部 山中 雅史様・合田 隆久様・岩沢 佳尚様
発売初年度からヒット商品となった「ナイトミン鼻呼吸テープ」。その商品開発に欠かすことのできなかったネオマーケティングのマーケティング支援とは?
小林製薬株式会社 日用品事業部 山中 雅史様・合田 隆久様・岩沢 佳尚様
設立:1919年8月
事業内容:医薬品、医薬部外品、芳香剤、衛生材料などの製造販売を行う製造販売事業
従業員数:連結 3,435人 単体 1,414人
「ナイトミン鼻呼吸テープ」の新商品開発を支援。
小林製薬が2017年に発売した、「ナイトミン鼻呼吸テープ」。人間本来の鼻呼吸へ誘導し、口・のどの乾燥やいびき音を軽減し、安眠を促す商品です。ネオマーケティングはリサーチ部分でお手伝いさせていただきました。今回はその当時の開発担当だった3名の方に「ナイトミン鼻呼吸テープ」開発に関わるお話、当社を選んでいただいた理由を伺いました。
※新型コロナウイルス感染症対策のため、オンラインでインタビューを実施しました。
「ナイトミン鼻呼吸テープ」開発後、それぞれ別の役割を新たに担う。
―お三方が所属されている部署と仕事内容について教えてください。
※写真左下:山中様、写真右下:合田様・写真右上:岩沢様
山中様 グループはバラバラですが、3名とも日用品事業部という部署に在籍しています。私は事業部付スタッフという、事業部長直下で多岐にわたる業務を行っています。今は直接製品の開発に携わっているわけではないですが、グループの垣根を超えて事業部で起こっていること全てに関わることができる立ち位置にいます。
岩沢様 「ナイトミン鼻呼吸テープ」開発当時はマーケティンググループに所属していましたが、今は日用品事業部の芳香消臭剤開発グループに所属しています。今は車用の芳香剤をメインに扱っています。あと、小林製薬では社員が考えたアイデアを社長の前で発表する「アイデア会議」が毎月あるのですが、その会議に向けて社員のアイデア開発の力を伸ばすプロジェクトを主導しています。
合田様 今は日用品事業部の新規事業を専門に推進する部署でマネージャーをしています。新規事業の中でも、BtoB関係をメインとしています。小林製薬はBtoCをメインに、消費財・日用品やOTCといった医薬品を売ることを生業としていますが、BtoBルートではコンシューマー向けのプロダクトではなく、BtoB専用のものを様々扱っています。
「ナイトミン鼻呼吸テープ」は、ネオマーケティングと実施したリサーチがなければ世に出すことはできていなかったかもしれない。
―弊社とは長くお付き合いいただいていますが、きっかけは何だったのでしょうか?
合田様 日用品事業部で最初にお取引したのは私だったかもしれませんね。一緒に仕事をしたとき、すごくスピード感がありました。商談をして2~3日後に提案事項が上がってくるのではなく、遅くても次の日には連絡が来る、というスピード感がありがたかったです。他の企業と比べて価格面でもすごくよかったと思います。
あと、ベンチャースピリッツというか、熱量を感じました。クライアントの要望への返答、レスポンスの速さ、相談に乗ってくれる時の親身さなど、クライアントのために一生懸命というか。
単にこちらの言ったことに対応するだけということであれば、依頼して依頼されてという機械的な関係性になってしまいます。ただ、リサーチはそんな単純なやり取りではうまくいかないケースが多くあります。どう聞けばいいのかわからない時や、もっとこういうことを聞きたいんだよね、と思うこともあるんです。
クライアントである我々は、聞きたいことは沢山あるのでどうせやるなら色々聞きたい、と思ってしまいます。ただ一方で、リサーチャーではないので設計に長けているわけではない。そういう粗さや要望もある我々のニーズを汲み取ってくれて、そのうえで早いレスポンスで返してくれて、依頼しやすい価格でサービスを提供してくれる。そのバランスが優れていたと思います。
―「ナイトミン鼻呼吸テープ」の際はどのように弊社を選定いただいたのですか?
(山中様)
「ナイトミン鼻呼吸テープ」の時は、プチ臨床試験のようなリサーチ内容でした。細かい要望も多かったので他の会社さんからは「そこまでは無理です」と断られた記憶が結構あります。その中で、細かい要望まで全て応えてくれたのが、ネオマーケティングでした。
今「ナイトミン鼻呼吸テープ」は非常に調子がいいのですが、ネオマーケティングと実施したリサーチがなければ世に出すことはできていなかったので、本当にお願いできてよかったなと思っています。
リサーチ結果を活用し、「快眠」という訴求につなげる。
―そもそも、「ナイトミン鼻呼吸テープ」の開発を始めた理由は何だったのですか?
岩沢様 口に寝るときにテープを張ることが、いびきや無呼吸症候群の予防に効果がある、ということは当時医学的にも言われていました。それを商品化すると面白いのでは、と思ったのが最初です。アイデア会議では「いびき」のコンセプトで社長にプレゼンしました。
その後開発を進めていくうちに、口にテープを貼ることでいびきや口・のどの渇きを予防できるということは「眠りの質の向上」と言えるのではないか、と思いまして、リサーチで睡眠中のデータを取得して「快眠」という訴求ができないだろうか、と考えるようになりました。今は「安眠」という訴求に変わっています。
実施したリサーチで良いデータがとれ、社内の評価も一気に好転。テスト販売もスキップして上市を早める決断に。
山中様 お医者さんへのヒアリングを重ね、論文などを調べていくうちに、人間本来の鼻呼吸を促すことが、人体に思っていた以上に良い影響を与えることがわかってきました。あらゆるデータを取ろうという気持ちで、寝起きの口内細菌の量を測ったり、いびきの音量を測ったりなど、網羅的なリサーチを行うことになったんです。
※リサーチは、都内のウィークリーマンションで実施。男子大学生を対象に1人につき1週間、起床時間・就寝時間・飲食物などを管理した状態で、いびきの音や寝ている間の体の動き、口内細菌の量などを測定した。
結果、テープを使用することで、いびきの音の軽減や体の動きが少ない時間が増加するといったデータが得られた。これらのデータをもとに、眠りの質にポジティブな影響を与えることが確認できた。
―リサーチを行ってみてどうでしたか?
山中様 結果は、想像していた以上に活用できるものでした。「寝る前に貼るテープ」という商品に半信半疑だった社内の人も、リサーチデータを示した後は反応が変わった気がします。社外の方への定量的なリサーチで、効果があることをしっかり示すことができたことが社内の人の納得感につながったのだと思います。
通常、新商品開発の際には実際の店舗を使ってテスト販売を行うのですが、このリサーチデータが出た後はそれもスキップしました。スピード重視でとにかく早く市場に出そうと。
岩沢様 当時は「睡眠ブーム」の兆しがあって、絶対にそのブームに乗り遅れたくありませんでした。試験でいいデータがとれたということもあって、できるだけ早く出したいと思っていたんです。「ナイトミン鼻呼吸テープはこれだけ売れる!」という予測値を出して、テスト販売をスキップできるよう、半ば強引に社長から決済をもらいました。
今後の「ナイトミン鼻呼吸テープ」や事業部としての取り組みについて
―今後の「ナイトミン鼻呼吸テープ」や他の事業について、どのように考えていますか?
山中様 「ナイトミン鼻呼吸テープ」は初年度から右肩上がりの売れ行きで、日用品事業部の中でも珍しい商品です。このコロナ禍で「睡眠」が改めて注目されていることも感じます。
睡眠対処の方法が病院で処方される依存性の強い医薬品が多い中、この「ナイトミン鼻呼吸テープ」は身近な雑貨品として安眠を提供できる、ということに意義があります。これからも非医薬品として安眠をもたらす「ナイトミンブランド」を提供していきたい思いがあるので、このブランドの傘下に入るようなラインを考えています。
開発検討中の製品は新規性が高いものが多いので、新しい習慣を提供するような形になるかもしれません。そのような製品に消費者がどのくらい支払っていいと思うかの基準がないので、今後は需要性の調査などもしていく必要があると思っています。
岩沢様 私は、D2Cのような新しいビジネスの形を作っていきたいと思っています。今、従来は開発に関与してこなかった営業の人なども巻き込んで、売り方なども含め一緒に開発していこうとしています。色々なところに仲間を増やして、新しいことをやっていきたいですね。
合田様 小林製薬は「深くて狭いプロブレム」を解決するビジネスモデルでやってきました。豊かな生活や共感できるストーリーを提供するというよりも、あなたのそのプロブレムを解決するモノって世の中になかったですよね?」というモノをわかりやすく提供することでうまくやってきた会社です。
ただ、今よく言われているD2C、マーケティング4.0のような話はプロブレムではないんですよね。自己実現やストーリーへの共感というのは「価値観」の世界。今までは、そのような顧客の「価値観」を理解するという思考で開発をやってきませんでした。まずは、そういう顧客のインサイトをいかに捕まえるか、というところに課題があるなと感じていますね。色々やり方、売り方を考えていきたいなと思っています。
ネオマーケティング担当者から
これからも商品カテゴリー毎のEvoked Setで1位を取れるようにマーケティング支援を行っていきます
関西営業所開設当初から、様々なマーケティングリサーチやマーケティング活動に携わらせていただいております。小林製薬様は、生活者の課題や問題点を解決する製品を開発し、良質な意思決定の為に定量定性調査を実施されています。また、優れた商品のネーミングやコミュニケーションによって、生活者に思い出されやすい、想起されやすいブランドとなっています。
生活者がより自分に合った商品・自分の為の商品を購入するようになっている昨今、Evoked Set(想起集合)がマーケティング活動の指標の一つとして改めて注目されています。購入・利用したいと思ったときに想起されるブランド・商品・サービスで第1位になることが、長期的な成長につながると考えています。
小林製薬様の製品は、生活者のこんな商品”あったらいいな”を追求することで、まさにこれを体現しています。これからも、商品カテゴリー毎のEvoked Set(想起集合)で第1位を取れるようなマーケティング支援を提供していきます。
執行役員 今泉陽介
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