CASE STUDY事例紹介

お客様との取り組み事例とインタビューをご紹介します。

新ビジネスをゼロから打ち立てた新規事業開発チームの調査活用とは?

キリンビバレッジ株式会社 企画部 新規事業開発室  (左)大石 俊介様 (右)善田 英樹様
設立:1963年4月
事業内容:清涼飲料の製造および販売
従業員数:連結3,660名(2019年12月31日時点)

新規事業KIRIN naturalsの全てを2人で担当。

―まずはキリンビバレッジ様のご紹介をお願いいたします。
キリンビバレッジはキリンホールディングスの事業の中で清涼飲料の製造・販売を担っている会社になります。キリングループでは、キリンビールやメルシャンといった酒類を扱う会社や、医薬の事業分野で製品を提供している協和キリンなど、食から医に渡る領域で事業を展開しております。

―お二人の所属されている部署と仕事内容について教えてください。
私たちは企画部新規事業開発室というところで「KIRIN naturals(キリンナチュラルズ)」の企画担当を担っています。企画担当とはいいつつ、全てのバリューチェーンを担当しており、商品の企画開発、ビジネスモデルの構築、物流周り、営業、契約締結まで2人で行なっています。
私たちが属している企画部の新規事業開発室は2020年の4月に設立されました。それ以前はマーケティング部の中に位置付けられていましたが、新規事業ということもあり、より経営に近いところで進めるべく、新たに企画部の中に新設されたんです。
 

健康は商品を買って終わりではない。健康意識の醸成のため、新しいビジネスモデルを模索した。

―お二人が担当されている「KIRIN naturals」について教えてください。
「KIRIN naturals」では、企業の健康経営をサポートすべく法人向けサービスとして、オフィスに野菜と果物をブレンドしたスムージーと健康セミナーなどをお届けしています。

―「KIRIN naturals」はどういった背景で生まれた新規事業なのですか?
キリングループはグループ全体として、社会課題を解決しつつビジネスとしても成り立つ事業を創造していこうとしています。中でも「健康」という社会課題の解決を重要なテーマと位置づけ、今までにも飲料分野に応用できる研究開発を行ってきました。
しかし健康というものは、一過性の商品を買って終わり、という話ではありません。商品を購入するだけではなく、健康意識を高め、取り組みを継続させることで実現するものだと考えています。また、健康への取り組みは一人だと挫折しやすく、家族の支えや組織・企業のサポートがあることで、継続しやすくなります。
そのような背景の中でこの組織・企業にアプローチすることを考えたとき、「健康経営」市場に対してアプローチをしようとなったのです。最初はスムージーの提供だけだったのですが、健康意識の醸成を目的とした健康セミナーなども提供するようになりました。

※「健康経営」とは、企業が従業員の健康をサポートすることが生産性向上などの経営的メリットをもたらすという考えに則った経営戦略のこと。
※「健康経営」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の商標登録です。


―直接販売にしても、セミナー提供にしても、従来からの飲料の販売とは全く異なるビジネスモデルですね。
健康の実現を支援するためには、既存のバリューチェーンで飲料を販売するだけでは難しいと思ったんです。モノとして販売するだけではなく、健康意識を生活に取り入れてもらえるようなサービスが必要だよね、と。そのためには、企業の健康経営担当者の方と密に情報交換したり、企業の課題に合わせてサービス設計したり、する必要があります。つまり、コンサルティング的な要素が重要になってきます。そうやって考えていくと必然的にダイレクトビジネスモデルに行き着くというわけです。
 

事業開発は全くのゼロからスタート。まずはインサイトを把握する調査から。

―「KIRIN naturals」の開発経緯を教えていただけますか?
既存ビジネスだけでの成長の限界を認識して、2016年4月頃、当時のマーケティング部内で新規ビジネスのバリューチェーンを考えるチームを作ろうとなりました。その時は「健康」分野の新規事業ということと、成果のデッドラインの2つしか決まっていませんでした。ターゲットもチャネルも、何も決まっていない状態だったんです。
まずは健康課題とはどのようなものがあるだろうという市場調査から始めました。そもそも消費者はどういうことに悩みを持っているか、消費者のインサイトを探る調査を行ないました。
そこで得た情報を基に、サービスのコンセプトを作り出し、コンセプトの受容性の調査も行いました。そこから、ビジネスアイデアを考えるブレストをコンサルティング会社と行いました。その時は、スムージーを含め5つほどのビジネスアイデアがありました。
 

調査を行いながらコンセプトやビジネスモデルを固めて「オフィススムージー」という方向性に行きついた。

―その中からどうやってスムージーに行きついたのですか?
どのビジネスアイデアもそれぞれに消費者の健康課題を解決し得るアイデアにはなっていました。ですが、結局はどのアイデアが実現できるのか?という問題がありました。自社の強みやリソース、スケジュールなど検討した結果、オフィス向け飲料のアイデアが残ったんです。もちろんビジネスアイデアでしたので、この段階ではまだ商品の具体的な設計については何も決まっていませんでした。例えば、チルドなのか常温なのか、冷凍なのか。
モノは同じでも、お客様への「届け方」でモノの価値は大きく変わります。サービスコンセプトやビジネスモデルの受容性調査を行なって議論していくうちに「オフィススムージー」の具体的なものが一つひとつ決まっていきました。

―随所で調査を行なっていったのですね。
そうですね。ビジネスアイデアが決まってからはスムージーのモノ自体について調査を重ねていきました。特に売価の需要弾力性についてはよく確認しました。従来の飲料のような薄利多売のビジネスモデルではなく、将来につながる継続性のあるビジネスにするためには利益率を厳しく見る必要があったんです。
ローンチした後も、味のバリエーションを変えるための味覚調査やリニューアルのためのパッケージ調査、容量の妥当性などは行なっていきました。
 

社内では新規事業を巡って様々な声が。説得材料としても調査結果を活用。

―社内の人はどのような反応でしたか?
おかしな方向に進もうとしたり、夢物語を語ったりする人も中にはいます。受容性を確認した調査の結果は、そういう人たちを説得する時にも活用しました。
ただ、社内でプロジェクトを進めるうえで、「導入する企業が本当にあるのか?」「従業員は本当に買うのか?」という指摘は経営の会議の中でも出てきました。定量調査でこういう結果がでています、と示したとしても、新しい試みの場合、こういった質問は出てくるんです。
なので、試作品を作ってから調査も行いました。我々が描いた仮説に対して試作品を使った調査でここまで確認ができています、ということを伝えたのです。最終的には、そこまでやったのならわかった、となりましたよ。


―やはりどれだけ調査をしても、本当に大丈夫か?という批判はつきものかと思います。不確実性が残る以上、あらゆる決断について最後はマーケターの覚悟という部分になってくるのでしょうね。
 

1つにこだわってダメになるくらいだったら、結果を出すために変える。

―新規事業とはいえ、大きな変更を行なうのは難しいのではないですか?
KIRIN naturalsはテストマーケティングから3年たっていますが、その間にビジネスモデルに迫るような大きな変更も経験しました。年に1回は変えてきているイメージです。
会社からはいつまでにこの成果を、というデッドラインを決められていますが、あとは比較的柔軟に判断を任せてくれています。経営層からは一つのアプローチに拘るのではなく、仮説を持ってトライ&エラーを繰り返しなさい、ということを言われています。また、私たち自身も常にお客様と接しているわけですから、実態に即していなければ、価値を提供できていないということで、常に変化していく必要性を感じています。
ベンチャーでも言われることだと思いますが、行動しないと何も始まりません。目的を達成するために変える方がいいという結論に至ったら変える。そういう時は絶対うまくいくという確信もあるんですよね。変えるまで2人で何度も何度も議論しています。

―貴社のような規模の会社だとかなり異質な気がしますね。
最初は早いペースで大きく変更していくことに、ドキドキした部分もあります。ただ、責任をとるのは我々ですし、我々が企画から営業まで一通り対応しているというのもスピーディーに動ける理由として大きいかもしれません。営業部隊など他部署を巻き込んだ形で事業運営しているような場合には、大きな変更は難しかったり時間がかかったりします。
 

1つのアンケート結果だけをうのみにせず判断する。

―市場調査を行う中で、印象的な結果が出たような調査はありましたか?
グリーン、イエロー、ホワイト3品の新商品開発の際に、現在の商品のイメージ評価・味覚調査を改めて行いました。
より野菜感や栄養素を訴求して健康意識に強く訴えるような方向性がよいと、利用してくださっている従業員の方たちから多くの声をいただいていたのです。なので、全体的に健康意識をより高めるものを作ろうとしていました。
その調査の結果、グリーンとイエローについては、より野菜感を感じる味覚にすることで高評価を得られました。しかし、ホワイトの豆乳ベースの商品については、野菜感を上げれば上げるほど、逆に評価がさがっていったのです。
多くの人が野菜感を求めていると言っているにも関わらず、単純に野菜感をあげれば商品の評価が上がるかというと、必ずしもそうではない。健康を訴求するシリーズの中でも、少しおやつ感覚で甘めのものを飲めるということの需要を再確認することができました。
そういう可能性があるとは思ってはいましたが、健康を訴求するサービスにも関わらず、このような結果が出たというのは印象的でした。1つのアンケート結果だけをうのみにしてはいけない、という例だったと思います。結果、ホワイトは少し違う路線で訴求しようと今検討しているところです。
 

ネオマーケティングは単なるアンケートだけの会社ではない

―当社にはどのようなイメージを持たれていますか?
ネオマーケティングは調査会社の中でも、かなりスピーディーに動いてくれるイメージがあります。何か思っていたのと違う結果が出たとしても、軌道修正する時間を取ることができるのですごく助かっています。
ネオマーケティングは、アンケート調査周りの困りごとや、こういうことちょっと聞きたいんだよねという時にも気軽に声をかけられる存在だと思います。
あと、ビジネス全体でどういう状態なのか、というヒアリングが多い印象ですね。こちらの答えに対して、「そういう状態であればこういうサービスがありますよ」というような提案をしてくれます。単なるアンケートだけの会社というよりも、ビジネスを進めていくうえでのパートナーというところですね。単なる調査会社というよりは、マーケティング会社というイメージを持っています。

―これからのKIRIN naturalsの展望を教えてください。
今までKIRIN naturalsは、オフィス勤務を前提とした健康経営サービスとしてやってきました。しかし、コロナウイルスの影響でその状況は変わってきています。
今応えていかなければならないと思っているのは、テレワークが増えてきている中、従業員への健康支援に課題を抱えた企業の声です。そういう声に応えていけるサービスとして、進化していかなければなりません。
多様な働き方に対応したサービスを、今年の9月には提供できるよういち早く動いています。大きな会社であっても、新規事業だからこそ提供価値はぶれずに、スピーディーに環境に合わせて提供のかたちを変えてくことができます。
健康経営という価値観を時代に合った形で浸透させるために、サービスもスピーディーに環境に合わせて変えていき、価値を提供していくということを続けていきたいと思っています。
 

ネオマーケティング担当者から

KIRIN naturalsの更なる発展の為に生活者起点のリサーチ&マーケティングソリューションを提供し続けていきます。

キリンビバレッジ様とのおつきあいは、キリントロピカーナ様(現:キリンビバレッジ)との取引の中から始まりました。
弊社の定性調査の強みを認めていただき、キリンビバレッジ社初となるビジネスモデルの構築の基礎となる調査から携わることができました。様々なアイデアが出ている中で経済的な側面・社会的な側面・技術的な側面等を加味し情報を精査しビジネスモデルの構築のご協力をさせていただきました。
現在では、企業へのサンプリング、導入企業の利用実態調査や味覚テスト等に協力をさせていただいておりますが、KIRIN naturalsの更なる発展の為に生活者起点のリサーチ&マーケティングソリューションを提供し続けていきます。

株式会社ネオマーケティング
執行役員 今泉陽介