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- 武蔵野美術大学 大学院博士後期課程 北 徹朗様
研究者人生を変えた1本の調査リリース。メディアからも企業からも大きな反響を得た調査PRとは?
武蔵野美術大学 大学院博士後期課程 北 徹朗様
設立:1929年
論文のための学術調査と調査PRをネオマーケティングと実施
「健康科学」「健康教育」「ヘルスプロモーション」を専門とする武蔵野美術大学の北徹朗教授(医学博士)。
とくに、ゴルフについては長年、調査研究を続け、現在ではゴルフ市場活性化委員会やスポーツ庁・Sport in Life コンソーシアム中央幹事会の委員に就任。また、「大学ゴルフ授業研究会」を立ち上げ、体育でゴルフを専攻する学生にコースデビューの機会を提供する「Gちゃれ」なども主宰されています。
研究者・教育者として活躍する北教授ですが、こうした活動はすべて、2015年にネオマーケティングと行った共同調査がきっかけだとか。北教授の研究者としての人生を大きく変えた調査とはどんなものなのか?
学術調査とプレスリリースの可能性についてお話を伺いました。
健康問題への社会科学的アプローチを研究
―まずは、北先生のご専門「健康科学」「ヘルスプロモーション論」「スポーツ産業論」について、どのような学問か教えてください。
「健康」というのは、基本的に個々人の問題です。しかし、健康づくりを支援するさまざまな環境が整えば、健康の維持や増進はたやすくなるし、QOLを高めることもできる。
たとえば、喫煙は個人の嗜好の問題ではありますが、分煙や禁煙化など環境へ働きかけることで、社会が協力して健康に向かっていくことができますよね。
このように、健康問題を社会全体で考え、医学面だけでなく社会科学的なアプローチから人々の健康への取り組みを支援し、健康な生活を整えるためにはどうしたらいいか。そんなことを考える学問です。
その後の研究者人生を変えた1本の調査リリース
―その中で先生は「ゴルフ」を研究テーマの一つにされています。
非常勤講師としてさまざまな大学でゴルフの授業を担当したことから、ゴルフ業界に関心を持ち、研究テーマにしてきました。
ゴルフ場のマネジメントや大学のゴルフ授業のあり方などについて研究や執筆をするほか、ゴルフ市場活性化委員会の有識者委員などもさせてもらっています。ただ、いまもゴルフの研究を続けているのは、すべてネオマーケティングさんと行なった調査がきっかけです。
―2015年1月にリリースした「ゴルフ離れに関する調査(https://neo-m.jp/investigation/264/)」ですね。
私は2004年頃からゴルフをテーマにして、さまざまな調査研究をしてきました。国際学会で発表したり、論文を書いたりしていましたが、私自身の業績にはなっても、ゴルフ業界からの反応は皆無。10年続けてきましたが、そんな状況だったので、武蔵野美術大学に移籍するのを機に、研究テーマを変えようと。
最後にやり残した調査をして、ゴルフ研究はこれで終わりにしよう、そう考えて実施したのが「ゴルフ離れに関する調査」だったんです。
―ゴルフを辞めてしまった離脱者に焦点を当てたんですね。
2000年代に入ってからゴルフ人口は激減していきます。業界としては「おじさんのスポーツ」といったイメージを一新させ、女性やジュニアなど新しい層を掘り起こそうとしていました。でも、私自身は、ゴルフを辞めた人がなぜ辞めたのか、その理由が明らかにならないまま、新規開拓しても意味はないと考えていました。
10年のゴルフ研究の中でも、離脱者への調査は行っていなかったので、そこだけ最後に調べて世の中に出して、ゴルフの研究は辞めるつもりだったんです。
ところが、ネオマーケティングさんに調査結果をプレスリリースにして出していただいたら、ものすごい反響で。いろいろなメーカーから産学連携の申し出をいただいたり、新しい情報が入ってきたり、その影響はいまだに続いていて驚くばかりです。
―調査だけでなく、プレスリリースしようと思ったのはどうしてですか?
調査の打ち合わせのとき、ネオマーケティングの担当の方が「プレスリリースも出せますよ」とアドバイスしてくださって、それがなんとなく頭の片隅にあったんです。
昔は何か調べようと思ったら、図書館で論文や過去のデータを探したりしたものですが、いまはまずネットで検索してあたりをつけるのが主流です。
プレスリリースがインターネット上にどこかに残っていれば、誰かが検索したときに見てくれるだろう、と。小さなひっかかりをあとに続く人に残せればいい、その程度の期待だったのですが見事に裏切られました。
世間の注目を得られたのは、データに基づいて根拠を示せたから
ーどうして、「ゴルフ離れ」の調査がそこまでの注目を集めたのでしょう?
やはり、データに基づいて根拠を示せたことが大きかったのだと思います。
当時、ゴルフ人口の減少は、「接待ゴルフや経費を使ったゴルフがなくなったから」というのがもっともな理由だとされていました。そのほか、「スター選手の不在」が原因とも言われていました。
そのため、業界は女性や若者など新しい層の開拓や、ジュニアへの投資によるスター選手の育成に力を入れていたのですが、どちらの説も根拠はなかったんです。
一方で調査結果を見ると、「プレーフィー(料金)が高い」と「用具価格が高い」、「所得が減った」といった金銭に関する理由が多く、あとは「うまくならなかった」「健康を害した」といった回答が多かった。
―数字が示す、根拠ある原因が明らかになったんですね。
データの強さですね。ここ数年はコロナ禍もあって、屋外スポーツであるゴルフが見直され、ゴルフ場の利用は前年比100%をキープできています。しかし、長いスパンでみると、ゴルフ人口は減少の一途を辿り、この30年で半減しています。
「健康を害した」ことを理由にゴルフを辞める人が多いという調査結果を踏まえれば、団塊の世代が健康寿命(男性72歳、女性75歳)に到達する2018年から2023年超えてゴルフ人口は激減することが予想されます。
画一的なゴルフ場のシステムを見直すなど対策が必要ですが、それには、「なぜ辞めてしまうのか」という理由を考える必要がある。そのとき、必ず2015年の調査結果に立ち戻ることになります。この先もあの調査の価値が褪せることはないと思っています。
―調査結果は生き続けるということですね。
業界には「ゴルフというスポーツはかくあるべき」というのがとても強く、ガラリと変えることは難しいですが、発信し続けていきたいと思っています。
ただ、自分の主観や思いだけを口にしても誰も聞いてはくれません。ネオマーケティングさんのような会社にお手伝いいただき、数字を出して根拠を示すことが大事。その結果、段々と世の中が動いていくと思うので。
学術調査で大切な「信頼性」。ネオマーケティングは信頼できるデータを提供してくれる
―1本の調査は研究者の人生を変え、社会を変える力を持ちうるんですね。
私は基本的に大学の教員は象牙の塔の住人でいいと思っています。専門性を突き詰めるべきで、一般の人に理解されることを第一に考えなくていい。
でも、「翻訳者」のような人を介することができれば、角度を変えた見方が見つかるかもしれない。研究者にとっての「当たり前」が、じつは一般社会において、ものすごく面白いことだった、なんてこともあるでしょう。
そんな小さな芽を、インターネット調査などを活用して社会に問うていくと、思いもかけない反応があり、新たな循環を産むのではないでしょうか。理解が広がったり、必要性を社会に訴えかけられたりできると思います。
―学術研究とビジネス的な市場調査との違いはどんなところにありますか?
学術調査の場合、「意味のない質問はない」ということでしょうか。私たち研究者は、先行研究を踏まえて自分自身の研究を進めていきます。前の研究でどこまで明らかになっているのかを確認し、見落とされている穴を見つける。そして、その穴を詰めていくような調査設計をします。そのため、質問項目すべてに「なぜ、これを問うのか?」という根拠があるんです。
―「なんとなく」「とりあえず」聞いておこう、というのがないんですね。
あとは、信頼性ですね。学術調査では、ビジネスの調査以上に信頼性が大切になります。調査データの信頼性に疑念がもたれたら、研究者生命にもかかわります。ただ、その点でいうと、ネオマーケティングさんは、大学の先生に監修を受けて、きちっと学術的作法にのっとって、質の高いデータを集めようと常に努力されている。「ネオマーケティングだったら論文にしても問題ないね」という印象は広がっていて、私は調査をするならネオマーケティングさんと決めています。
―ありがとうございます。共に調査を行うパートナーとしての、ネオマーケティングはいかがでしょうか?
みなさん、若くて、礼儀正しく爽やか。いい印象しかないです。
お話したように、正しい回答を引き出すために調査設計にはとても神経を使うのですが、パソコンやスマホの画面上で質問がどのように展開していくのかなど、いろいろご提案いただいて助かりました。納品の品質よく、しかも驚くほど早い。
いまのまま変わらずいていただければと思っています。厳しい研究費の中からでもお願いできる料金設定も含めて(笑)。
―では、最後に先生ご自身の展望をお聞かせください。
一度は終わりにしようと思ったゴルフ研究ですが、ネオマーケティングさんとの調査で思いもしない方向へと展開することができました。
私自身の研究はもちろんですが、美術大学にゴルフの研究者がいるということで、スポーツメーカーからゴルフバッグのデザインといった産学連携のお話をいただいたり、大学院生が手掛ける初心者向けのゴルフクラブの開発にもメーカーの方からアドバイスをいただいたり。
こうした道筋ができたのも、2015年の調査のおかげです。ネオマーケティングさんには感謝しかありません。研究を続けていける素晴らしい環境をいただけたので、この先も、新しいデータを収集し、ヘルスプロモーションに役立つ情報を発信できるよう励みたいと思っています。
ネオマーケティング担当者から
ブランドはパブリシティによって創られるということを実感しています。
北先生の10年以上ゴルフの研究実績が背景にあった上で、消費者が気になるデータをリリースしたことが大きな反響が生まれた理由だと考えられます。
ブランドは一貫性が重要だと言われていますが、研究テーマが毎年変わっていた中でのリリースだった場合、ここまで北先生に問い合わせが来ることはなかったのではないでしょうか。
引き続きデータの信頼性向上と学術調査面や研究結果の啓蒙活動面で尽力していきます。
執行役員 今泉陽介
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